外に木をつかうこと

メンテナンス

先日、隈研吾さんが設計した栃木県那珂川町馬頭広重美術館の老朽化についての記事を読みました。
2000年頃に建築された「広重の芸術と伝統を表現する伝統的で落ち着きのある外観」をコンセプトに自然豊かな那珂川町の景観に溶け込むよう、ゆったりとした平屋建てに切妻の大屋根を採用した趣のある建物です。

那珂川町馬頭広重美術館
印象派に大きく影響を与えた浮世絵の画家、安藤(歌川)広重の作品を展示する美術館。彼が木版画の中に作り上げた独特の空間構成を建築化しようと考えた。彼はレイヤーの重なりとして、三次元の空間を表現しようと試みた。西洋絵画におけるパースペクティブを...

美術館全体が、地元産の八溝杉による格子(ルーバー)に包まれ、時間とともに移りゆく光によってさまざまな表情を見せてくれるそうですが、老朽化が問題になっているというのは特に屋根部分のようです。ニュース動画を見るとレポーターにより、木材がボロボロになっていて、ひび割れたり曲がってしまっている物も見られると、建物の老朽化の様子をを伝えていました。

隈研吾さんは、「当時の保護塗料の性能が低かった」と説明されています。また改修費用には約3億円かかりクラウドファファンディングでも費用を募っています。
https://www.furusato-tax.jp/gcf/3708

木造住宅にも外部に木を使用することは良くあります。破風・鼻隠しや板壁、木製窓・ドア、デッキやフェンスなどです。耐久性やメンテナンスのことを考えれば木より金属や樹脂製の建材を使うのが良いことは言うまでもありませんが、それでも木などの自然素材が持つ独特の風合いや、それを用いることで得られる心が落ち着くような雰囲気、景観とのマッチなどは代え難いものがあると思います。

木を外部に用いれば、例え適した木材を使用したとしても定期的なメンテナンスは必要で、それをきちんとしていてもいずれ朽ちていくことは分かっていたと思います。24年も経てば当然の状態です。あえて使っていると思いますし、予算的なこともあったかもしれません、大事なのは事前にそうなることが説明出来ていて皆が納得の上で着工したかどうか、「20年くらいしたら改修に3億円かかるよ」と伝えていたかどうか。

住宅についてもウッドデッキやウッドフェンスは脚立があれば保護塗料を塗ることができるので、自身でメンテナンスされるお客様もおられます。それが破風板や高所の板壁や木製窓の場合はどうでしょう?その都度足場を組んで業者さんに依頼しなければなりません。

外部に木を使用する時には、定期的にそのようなメンテナンス費用(3億円まではかからないと思いますが)が必要になることを事前に説明しておくことが大事だと思うのと、工事を依頼する方にもある程度知識が必要なので、24年も経った外部に取り付けられた木材がボロボロになって、ひび割れたり曲がったりしているのを見て大騒ぎしないで済むようにしておいてください。

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